薬剤師の47%が、「医師が必要以上を処方」を残薬問題の一因と指摘 医師への働きかけや患者への聞き取りに苦慮し、製薬会社への要望も多数 ~薬剤師からみた「残薬問題」調査~

2016年10月11日 [火]

QLifeは、「残薬問題」に対する現場の薬剤師の見方を調査した。調剤薬局に勤務している薬剤師300人を対象にインターネット経由で訊いたもの。

調査の結果、残薬の原因として8割が「患者の服用忘れ(漏れ)」を挙げつつ、4人に1人以上が他の理由(全6要因)をも指摘する結果となり、残薬問題の多面性・複雑性がうかがえた。また医療者側の原因としては、よく言われる「複数の医師による重複処方」よりも「医師が必要以上の量・日数を処方」を問題視する人の方が多く、病院門前薬局では58%、全体でも47%を占めた。

次に、こうした状況において「薬剤師が貢献できること」や「製薬会社が薬剤師を支援できること」を訊いたところ、昨今増えているブラウンバッグ(節薬バッグ)を製薬会社に提供してもらいたいなど、具体的な意見が多数寄せられた。一方で、医師への働きかけ、患者への聞き取りに薬剤師が苦慮している実情が多く語られ、製薬会社に両者への啓発情報を発して欲しい旨の要望があった。

今回の結果について、東京理科大学薬学部臨床准教授の水八寿裕先生は以下のコメントをした。「今回は残薬の直接的要因に絞った実態確認と、薬剤師がそこで果たすべきことは何か、という2本立ての調査になっているが、後者のアクションがまだまだ不足していると思う。特に高齢の患者さんは自己負担割合が低いこともあり意識が乏しい印象があるが、そこで薬剤師が貢献できる余地は大きい。また医師へのフィードバック方法にも変化が必要で、疑義照会・お薬手帳などを活用して残薬解消提案をスムーズにできるよう、患者の考えを最大限に尊重しながら医療機関との協議をもっと進めるべきだ」

※本調査の報告書は http://www.qlife.co.jp/news/161011qlife_research.pdf からダウンロード可能

「残薬問題」の原因として大きなものは何だと思いますか(複数回答)

【Q】「残薬問題」の原因として大きなものは何だと思いますか(複数回答)

患者さんの「残薬問題」を解消するために、現場で薬剤師がすべきことは何で、そのために「製薬会社が薬剤師を支援できること」は何だと思いますか。

回答の多かった内容をテーマ分類すると以下のとおりであった。

  • 医師へのフィードバックや提案
  • 処方日数の短縮や、分割調剤
  • 服用手間・回数負担を減らす
  • 患者が残薬を打ち明けられる環境づくり
  • 患者への聞き取り強化
  • 患者のアドヒアランス意識を向上
  • 患者への残薬問題の啓発

また、具体的な回答文の例は以下のとおり。
医師へのフィードバックや提案
患者が残薬を打ち明けられる環境づくり

▼調査主体
株式会社QLife(キューライフ)

▼実施概要
(1) 調査対象: 調剤薬局に勤務している薬剤師
(2) 有効回収数:300人
(3) 調査方法: インターネット調査
(4) 調査時期: 2016/08/10~2016/08/20

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