インフル予防接種「今年はしない」54%、「値段高い」60%。所得高低で傾向差・・・集団予防効果に経済格差が影おとす。世帯所得別のインフルエンザの予防ならびに治療行動に関する一般生活者 緊急1000人アンケート

2012年11月21日 [水]

QLifeは世帯所得別に、インフルエンザの予防接種や治療法について、意識や知識の違いについての調査を実施。その結果概要を報告した。
インフルエンザの予防ワクチン接種はおおむね大人一回で3,000~3,500円の価格帯が多くみられる。(公的助成ない場合。2008年QLife調べ)。 これを負担に感じる生活者も多く、長引く景気低迷や経済格差の拡大で予防接種を受ける割合が減ると、集団感染リスクが高まり、接種メリットが減ることが危惧されている。なお、調査概要はQLifeサイト内(http://www.qlife.jp/square/feature/influenza/story30558.html)でも掲載している。

【主な結論】

「予防接種」は、世帯所得の多寡によって接種意欲やその理由に差が見られたが、「治療」は、薬剤に関する知識度合いや使用経験の面で、世帯所得差による傾向は特に見られなかった。
自費診療の「予防」で顕著な差が見られるのに、保険診療の「治療」で差が見られないのは、国民皆保険制度の恩恵と言えるだろう。逆に言うと、日本社会で「経済格差」が広がっている(ジニ係数の推移など)現代においては、病気の「予防」格差が生まれ始めており、特にインフルエンザのような感染症においては個人レベルだけでなく集団レベルでの格差が始まっている可能性がある。

【結論の概要】

1)インフルエンザ予防接種「既にした」「するつもり」は過半数に届かず。所得別で意欲に差
今シーズンのインフルエンザ予防接種の意向・実施について、「既にした」は11.4%。「するつもり」を加えても46.2%と過半数に届いていない。また、世帯所得別で接種意欲に差があり、「既にした」「するつもり」と回答した401~600万円世帯が41.6%であるのに対し、1001万円以上世帯では51.4%と10 ポイント近い差がついた。
2)インフルエンザ予防接種に半数以上が「高い」と感じている
予防接種の値段は、60.2%が「高い」と回答。1001万円以上世帯においても51.2%が「高い」と答えており、予防接種の費用対効果についても疑問を抱いていることが分かった。
3)インフルエンザの予防行動について、世帯所得間で「格差」が発生
世帯所得が401~600万円世帯と1001万円以上世帯において、予防行動に格差があることが分かった。「昨シーズンの予防接種の接種率」では8.4ポイント、「今シーズンでの接種意向」では8.8ポイント、「予防接種しない主たる理由が費用である」では16ポイント、「予防接種の値段が適正と思う」では16.4ポイントと差が見られた。
4)インフルエンザ治療薬や治療の注意点など、治療については世帯所得間の「格差」は無い
「解熱剤として特定の薬以外は使わない方が一般的に良い」など、インフルエンザ治療における患者側が注意すべき点の認識の割合や、インフルエンザ治療薬の認知・使用経験など、治療フェーズについては、予防フェーズで見られたような世帯所得間格差は見られなかった。

【実施概要】

(1) 調査対象:一般生活者
(2) 有効回収数:1000人
(3) 調査方法:インターネット調査
※バイアスを排除するためにQLife会員ではなく、外部の大手リサーチ会社のモニターを活用
(4) 調査時期: 2012/11/9~2012/11/10

▼詳細な調査結果については以下より

http://www.qlife.co.jp/news/121119qlife_research.pdf

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