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プロフィール
山内善行(やまうち・よしゆき)
株式会社QLife代表取締役
株式会社カレン顧問
1965年生まれ、東京大学工学部都市工学科卒。ボストンの都市計画・商業施設開発コンサル会社を経て、1994年に株式会社カレンを設立、代表取締役に就任。2006年にカレン会長に就任、株式会社QLifeを設立する。
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うつ病が増えた理由は「現代人にストレスが多いから」と言われるが、それは直感的におかしいと私は考え、素人仮説を立てては自身のブログで下手に論じていました(※過去の仮説記事:『これが、うつ病の患者増加の正体でないか?』)

ところが、この本(『なぜうつ病の人が増えたのか』冨高辰一郎)は疑問にキレイに答えてくれました。全体的に納得がいく内容です。
製薬会社の疾患啓発活動の結果、「軽度のうつ病」というかつて存在しなかった病気認識が、社会に生まれた、というのです。疾患啓発は、「重度のうつ病患者さんを受診に向かわせたり、うつ病の偏見をなくしたり」という本来の効果もあったわけですが、そうでない効果も生んでしまった、という説明です。
この説に納得した理由は何でしょうか・・・著者の論調が、冷静で複眼的であり、データ引用が多くて、科学的に見えるから?それとも、海外論文も含めたマクロ傾向と、臨床医としてのリアルさの、両視点を備えた文章だから?
一番の理由は、読者の私が情報操作の力を実感しているからでしょう。「マーケティング」という分野で長らく仕事をしている人なら、誰でもそうだと思います。
疾患啓発では、まずは病気の存在を認知させ、次に受診行動を喚起します。最初に病気と気付かせるためには、「それは、病気(あなたや周囲が悪いのではない、病気が悪い)」「誰でもなり得るもの」と、伝えます。
ところがうつ病では2つの特徴、すなわち「健康との境目が連続的(境界線があいまい)」「診断は患者の自己判断に依存」という要素があるため、疾患啓発の結果、「軽度のうつ病」患者が診察室で大量に生まれてしまいました。しかも「原因は、あなたのせいじゃない、病気のせい」との認識が強すぎるために、気持ちを切り替えられる波があったり、環境を変える機会を逃して、「いや、原因は病気だから」と改善努力の芽が潰されてしまう→治療の長期化を招く・・・との説明です。(注:あくまで「軽度のうつ病」患者の内面の話です)
欧米での抗うつ薬是非論争が、日本にも上陸しつつありますから、著者の理論が正しいのか否かも徐々に答が出るでしょう。
QLifeは疾患啓発に積極的にかかわっている会社です。それは経営理念にも合致し、重要な収入源にもなっています。ですから、仮に疾患啓発に2面性、3面性があったとしても、現実的には続けます。うつ病に関しても、疾患啓発は引き続き実施したいと考えています。
ただし、より深い啓発が必要だと認識しました。正直を申し上げると、なかなか難しいです。なぜなら、記事のメッセージはできる限りシンプルにしなければなりませんから。「ケースバイケースで、気をつけましょう」という結論は、何も言っていないのと同じです。当たり前すぎてインパクトも弱く、情報発信の意義さえ薄れます。
でも、そこにチャレンジしていきたいと思います。
QLifeで反響がすごかった記事です。↓
●職場のうつ“偏見と本音”編 [1]~[2]
●職場のうつ“職場への打ち明け”編 [1]~[3]
●職場のうつ“理想の医師像”編
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「なぜうつ病の人が増えたのか」を書いた本人です。拙著を読んでいただき、ありがとうございます(実は「うつ病患者数と社会の情報量が相関する」という過去のブログの記事も以前に読んでいました)。
山内さんのような、病気の啓発活動に携わる立場の方に読んでいただき、うれしいです。
山内さんがおっしゃっているように、今後の病気の啓発活動には深みが必要と思います。
深みとは何か、という問題は難しいのですが、個人的にはリスクとベネフィットをなるべくわかりやすく、中立的に伝えることを心がけています。
Posted on 2010.01.11 5:18 PM by 冨高
冨高先生、拙ブログを見て頂いていたとは、光栄です。
今回の記事には書きませんでしたが、本の最後にあった冨高先生の「入口と出口」論は、目からうろこでした。疾患啓発などにより「うつ病」への入口(※)が広がり/増えて、受診者が増えたのは、悪いことじゃない。むしろ出口が狭い/少ないままなので、患者数が増え留まりしているのが悪いんだ、という考え方。
シンプルで、現実的。すごいと思いました。そして出口広げの具体策も挙げておられましたね。
我々のようなメディアは、入口啓発は得意でも、出口啓発は下手くそです。出口は、読者にも人気ないし、ビジネス的にも難易度が高いから。でも出口啓発までできれば、社会構成員としてもう一段階成長するのでしょう。
(※先生は「メンタル休職者になる入口」に限定して用いている理論なので、「うつ病患者になる入口」として良いのか否かは自信ありませんが)
Posted on 2010.01.11 10:33 PM by yamauchi