トップページ > QLife, 医療問題, 書籍・マンガ評 > うつ病の患者数が増えた理由は、薬?啓発?

最新情報をお届けします
rssfeed
Twitterやってます
更新情報も配信中
twitter

プロフィール

山内善行(やまうち・よしゆき)
株式会社QLife代表取締役
株式会社カレン顧問
1965年生まれ、東京大学工学部都市工学科卒。ボストンの都市計画・商業施設開発コンサル会社を経て、1994年に株式会社カレンを設立、代表取締役に就任。2006年にカレン会長に就任、株式会社QLifeを設立する。
»更に詳しいプロフィール

カテゴリー

最新記事一覧

写真つき最新記事一覧

『どーん!』という音が聞こえるクリエイティブ QLifeの月間利用者が500万人突破。名実ともに日本最大級の病院・医薬検索サイトに

アーカイブ一覧

07
1月
2010

うつ病の患者数が増えた理由は、薬?啓発?

投稿日:2010.01.07 00:09 | カテゴリー:QLife, 医療問題, 書籍・マンガ評
トラックバック(0) コメント(2) | このエントリをはてなブックマークに追加このエントリをdel.icio.usに追加このエントリをLivedoor Clipに追加このエントリをYahoo!ブックマークに追加このエントリをFC2ブックマークに追加

うつ病が増えた理由は「現代人にストレスが多いから」と言われるが、それは直感的におかしいと私は考え、素人仮説を立てては自身のブログで下手に論じていました(※過去の仮説記事:『これが、うつ病の患者増加の正体でないか?』

なぜうつ病の人が増えたのか
ところが、この本(『なぜうつ病の人が増えたのか』冨高辰一郎)は疑問にキレイに答えてくれました。全体的に納得がいく内容です。

製薬会社の疾患啓発活動の結果、「軽度のうつ病」というかつて存在しなかった病気認識が、社会に生まれた、というのです。疾患啓発は、「重度のうつ病患者さんを受診に向かわせたり、うつ病の偏見をなくしたり」という本来の効果もあったわけですが、そうでない効果も生んでしまった、という説明です。

この説に納得した理由は何でしょうか・・・著者の論調が、冷静で複眼的であり、データ引用が多くて、科学的に見えるから?それとも、海外論文も含めたマクロ傾向と、臨床医としてのリアルさの、両視点を備えた文章だから?

一番の理由は、読者の私が情報操作の力を実感しているからでしょう。「マーケティング」という分野で長らく仕事をしている人なら、誰でもそうだと思います。

疾患啓発では、まずは病気の存在を認知させ、次に受診行動を喚起します。最初に病気と気付かせるためには、「それは、病気(あなたや周囲が悪いのではない、病気が悪い)」「誰でもなり得るもの」と、伝えます。

ところがうつ病では2つの特徴、すなわち「健康との境目が連続的(境界線があいまい)」「診断は患者の自己判断に依存」という要素があるため、疾患啓発の結果、「軽度のうつ病」患者が診察室で大量に生まれてしまいました。しかも「原因は、あなたのせいじゃない、病気のせい」との認識が強すぎるために、気持ちを切り替えられる波があったり、環境を変える機会を逃して、「いや、原因は病気だから」と改善努力の芽が潰されてしまう→治療の長期化を招く・・・との説明です。(注:あくまで「軽度のうつ病」患者の内面の話です)

欧米での抗うつ薬是非論争が、日本にも上陸しつつありますから、著者の理論が正しいのか否かも徐々に答が出るでしょう。

QLifeは疾患啓発に積極的にかかわっている会社です。それは経営理念にも合致し、重要な収入源にもなっています。ですから、仮に疾患啓発に2面性、3面性があったとしても、現実的には続けます。うつ病に関しても、疾患啓発は引き続き実施したいと考えています。

ただし、より深い啓発が必要だと認識しました。正直を申し上げると、なかなか難しいです。なぜなら、記事のメッセージはできる限りシンプルにしなければなりませんから。「ケースバイケースで、気をつけましょう」という結論は、何も言っていないのと同じです。当たり前すぎてインパクトも弱く、情報発信の意義さえ薄れます。

でも、そこにチャレンジしていきたいと思います。

QLifeで反響がすごかった記事です。↓
職場のうつ“偏見と本音”編 [1]~[2]
職場のうつ“職場への打ち明け”編 [1]~[3]
職場のうつ“理想の医師像”編

この記事のトラックバックURL

コメントをどうぞ!

メールアドレスは公開されません。

コメントは承認制です。

▲ページの先頭へ戻る

【山内の頭の中】

QLifeニュースリリース

QLife運営サイト

Powered by QLife