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プロフィール
山内善行(やまうち・よしゆき)
株式会社QLife代表取締役
株式会社カレン顧問
1965年生まれ、東京大学工学部都市工学科卒。ボストンの都市計画・商業施設開発コンサル会社を経て、1994年に株式会社カレンを設立、代表取締役に就任。2006年にカレン会長に就任、株式会社QLifeを設立する。
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日本代表、惜しかった!「歴史を塗り替える」ごく手前まで行ったのに、あとほんの、ほんの一歩及ばず。
「ほんの一歩」は、拍子抜けなくらいにあっけなく飛び越してしまう時もあるが、今回は、残念ながら遠かった。
でも、「世界に通用する守備」は大きな自信ができた。「個々の能力が多少見劣りしても、組織を作って気迫を途切らせずに闘えば、鉄壁の戦いができる!」と言われて、もはや半信半疑で聞く人は、いない。岡田監督の「サッカーはチームスポーツだという証明」は、今後の日本サッカーの糧となり礎になる。全ての少年サッカーチームやJリーグ・チームが、「2010年のW杯の日本を見ただろ?あれが証拠だ、お前らにも出来る!」と試合前にお手本にするだろう。精神論に、強いリアリズムを与えた功績は大きい。サッカーだけではないかもしれない。様々な分野で、日本のカルチャーと相乗効果を生むだろう。
攻撃面の収穫も大きい。本田圭佑選手の活躍が脚光を浴びた。若手の台頭は将来に勇気を与える。彼のインタビューを聞いていると、「他の選手とは一段違うところにいる」ことを感じさせる。人と異なるところを見ているというのは、スポーツ・スターの証の一つだ。
でも、今回の最大の貢献者は、田中マルクス闘莉王じゃないだろうか。あのどん底状態から、チームの一体感を盛り上げた最初のセルモーターは、田中選手だったと思う。彼が周囲に熱い気持ちをぶつけ、闘争心に火をつけて回った。「国歌で肩を組む」のも確か彼の発案だったんじゃないか。実力通りの力を出せない国が多いなか、日本は、彼の火付けによってチーム全体が燃え上がり、地力以上の攻防を見せた。
私も、高校時代に似た経験がある。部活でボート(4人で漕いでスピードを競う競技)をやっていた。ボートは体格が大きいのが圧倒的に有利なので、中肉中背揃いだった我々はそれほど強いとは目されていなかった。ところがシーズンに入って勝ちが増えるうちに、だんだんチームの結束が強くなり、自信が湧いて出るようになった。ちょうど、W杯のジャパンのように。ボートは漕ぎ手の動きが少しでもズレると、かえってオールがブレーキになるくらいなので、チーム力が高まることで我々はさらに速くなり始めた。
練習メニューは自主的に決めていたが、厳しい内容を自分達に課した。「もうこれ以上、カラダが動かない」と思った後に、さらに一本、漕ぐかどうか。そんな「まさかの追加1本」をやった後に、さらにもう1本を、今度は狂気のノリで漕げるかどうか。「こんな苦しい思いは一生で二度とないだろう」と泣きそうになりながら、タイムはどんどん縮まるから、どこかでドーパミンが出ていた。心拍数を上げる練習も筋トレも、がむしゃら。昼間の授業は寝る時もあった。ストイックの快楽を覚えた歳だった。
クルーに不思議な力が宿ってからは、最初は「インターハイに行けるかな」だったのが、「2回戦は突破できるかも」「3位入賞だって夢ではない」と本気で思い始めた。実際に、夏のインターハイでは決勝まで進むことができた。が、最後には、さすがに「チーム力では超えられない、地力の壁」があった。我々は4位に終わった。学校の創部以来の成績だったので、それなりの達成感はあったし、顧問やコーチの先生も手放しで褒めてくれた。
けれども、「3位との差はとても大きい」と感じたのも事実だった。チーム力に頼った、仮の姿を自分達はそれまで見ていた、と感じた。チーム力では、これより上にはいけない(※)。『山の頂に近づいてはじめてわかる頂上との距離』という言い方があるが、まさにそんな感じ。
今の日本代表の選手やコーチ達も、同じ感覚じゃないだろうか。8強、まして4強との差は、まだまだ大きい。「ギリギリ16強になるための戦術や練習」と、「4強を具体的に狙う戦術と練習」は違うだろうから、次の監督は「岡田さんを踏襲する」と言ってはいけない。新たなステージに入った日本サッカーに、是非とも、新たな発想・体制を導入して欲しい。つまり、組み立て直しをしてほしい。
本田のFKリプレイを数十回見させられた日本国民は、もう16強に慣れてしまった。4年後の日本国民は、W杯出場も決勝リーグも大変なこととは思わず、むしろ「16強までは当然」と言うだろう。イタリヤ、フランス国民が、代表チームに怒声を浴びせたのと同様の期待を持ち始める。ぜひその期待に応える準備を、今から始めて欲しい。4年後にまた日本全体が盛り上がるために。
まずは関係者の皆さんに「お疲れ様、ありがとうございました」と言いたいけれども、同時に、「次」を見据えて組み立てをし直してくれるよう、激励のメッセージを送ります。中学の部活でサッカーに打ち込む息子を持つ親の一人として。
※当時のクルーの一員だった栗原君(現アドバンスト・ビジネス・ダイレクションズ社長)は、大学でもボートを続けて、ユニバーシアード(大学生の世界大会)にまで出場して優秀な成績を収めました。リベンジを立派に果たしました。
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