- このブログ内を検索する
-
プロフィール
山内善行(やまうち・よしゆき)
株式会社QLife代表取締役
株式会社カレン顧問
1965年生まれ、東京大学工学部都市工学科卒。ボストンの都市計画・商業施設開発コンサル会社を経て、1994年に株式会社カレンを設立、代表取締役に就任。2006年にカレン会長に就任、株式会社QLifeを設立する。
»更に詳しいプロフィール
カテゴリー
- Lifeの質 (63)
- QLife (79)
- よい広告 (8)
- カルチャー (13)
- メッセージング (26)
- 人物 (27)
- 人生の学び (6)
- 会社経営 (12)
- 医療問題 (53)
- 変なもの・面白いもの (47)
- 山内トーク (1)
- 感想 (1)
- 政治経済 (20)
- 映画・TVドラマ評 (28)
- 書籍・マンガ評 (20)
- 飲み食い (13)
最新記事一覧
- 『どーん!』という音が聞こえるクリエイティブ
2012.02.07 - 『添付文書pro』のAndroid版、やっと出ました
2012.01.25 - QLifeの月間利用者が500万人突破。名実ともに日本最大級の病院・医薬検索サイトに
2012.01.13 - 「世のため人のため」の、「革新」
2012.01.11 - 患者から医療者へ今年最後の「ありがとう」メッセージ
2011.12.31
アーカイブ一覧
- 2012年2月 (1)
- 2012年1月 (3)
- 2011年12月 (7)
- 2011年11月 (7)
- 2011年10月 (10)
- 2011年9月 (6)
- 2011年8月 (8)
- 2011年7月 (12)
- 2011年6月 (13)
- 2011年5月 (13)
- 2011年4月 (7)
- 2011年3月 (13)
- 2011年2月 (6)
- 2011年1月 (8)
- 2010年12月 (21)
- 2010年11月 (9)
- 2010年10月 (11)
- 2010年9月 (14)
- 2010年8月 (2)
- 2010年7月 (7)
- 2010年6月 (12)
- 2010年5月 (10)
- 2010年4月 (32)
- 2010年3月 (31)
- 2010年2月 (29)
- 2010年1月 (31)
- 2009年12月 (23)
- 2009年11月 (6)
2月
2010

この本には、「英国医療復活の軌跡」と副題がついています。薄いですが、医療制度の改革の様子をコンパクトに俯瞰した、良書です。
目を引いたトピックスを列挙しますと、
●健康格差(Health Inequality)の問題…社会階層の違いで死亡率が最大3倍違う(1998年アチェソン報告)など、経済格差が健康上の格差になっている。しかも世代をまたがって固定化、ないし再生産されて格差が広がる場合さえある。この指摘が、医療制度改革に着手する世論形成のきっかけになった。
●360度評価を受ける医師…全ての医師は、5年ごとに医師資格を更新しなければならない。資格更新には毎年の業績評価が求められ、かつ360度評価制を採用(つまり看護師など部下からも評価を受ける)。そこでは、医学的知識レベルだけでなく、「患者からの評価」も考慮される。
●公務員医師が勤務時間内に自由診療のバイトで稼げる…クリニックの医師(GP)は全員公務員で、勤務時間は1日10時間程度、年5週間の有給休暇がある。平均年収は「1500万円+時間外手当+自由診療」。安易に患者を病院紹介したり、投薬が多過ぎると評価減→給料も減る(そのためか、医薬品の1人あたり服用量は日本の6割)。自由診療を、勤務時間内でも週4時間まで副業としてやってもよく、さらに勤務時間外で稼いでもよい。
●情報提供(informing)が徹底…情報公開が常に良しとされ、各医療機関の評価も住民に公表される。※実際のサイトを見たら衝撃的だったので別途まとめます。
●医薬品採用は“クオリ”次第…クオリ(Quality adjusted life year)とは、治療の費用対効果を測る、「患者を1年間健康にする」という単位。たとえ余命が一年伸びても、QOLが悪ければ(例:寝たきり、痛みに苦しむ)、1クオリ未満とされる。そして1クオリに3万ポンド(450万円)以上かかってはいけない、とされる。例えば、「0.7クオリ=健康度0.7の1年間」の治療方法なら、総額300万円以下でなければ保険で支払われない。医療の「患者の命に値付け」「一般市民切り捨て」批判されている。
ただ、上記は断片的に勉強になった箇所に過ぎません。むしろ最も興味深かったのは、その改革断行のプロセス。ブレア首相など政治家の強いリーダーシップで、実験的試みを思いきって進めています。これを「社会的勇気」とでも表現したらよいでしょうか、私はとても感銘を受けました。
当の著者=武内和久氏が若い厚生省官僚であることに、勇気づけられました。しかしながら、著者は「改革は成功ばかりとは言えない」「そのまま日本に当てはめることはできない」と何度も文中で繰り返します。慎重が過ぎると思うほどですが、著者にこのような態度をとらせるカルチャーこそが、彼我の最大の差であると思います。英国の医師団体は、改革に強く反発することもあったようですが、逆に世論を見ながら自主統制して改革の伴走者にもなっているようですから。
QLifeサイト上にも、英国の医療制度に関する記事を、過去何度か掲載しました。『英国では「医療政策」決定に広く患者が参加』や『日本初の「患者による患者のためのガイドライン」できた』など。これらの記事執筆を通して私は、市民が企画段階から医療制度に深くかかわっていることを知り、素晴らしいと考えていました。もう少し学びたいと思います。
トラックバック
トラックバックはまだありません。
コメント
コメントをどうぞ!
QLifeニュースリリース
- 2012.02.09
【12年1月版】「病院探しの“切り口”」の最新動向を発表 - 2012.02.09
【12年1月版】「お薬探しの“切り口”」の最新動向を発表 - 2012.02.03
QLife月間利用者数500万人突破を記念して、プレゼントキャンペーンを実施 病院口コミ投稿でAmazon(R)ギフト券を50名にプレゼントするほか、新規会員登録で500Pなど、Wポイントアップキャンペーンも - 2012.01.23
医療用医薬品の添付文書を写真付きでオフラインで検索する事ができるAndroid初のアプリ 「添付文書Pro for Android」をリリース - 2012.01.12
QLifeの月間利用者数が500万人を突破。名実ともに日本最大級の病院・医薬品検索サイトに~「お薬検索」ページのリニューアル、医療者向けアプリが利用者数増に貢献~ - »ニュースリリース記事一覧
QLife運営サイト
Powered by QLife










拙著のご紹介をいただき、ありがとうございます。英国では、強いリーダーシップのもと、各層の知見を集め、10年のスパンに改革の構想を描き、果敢に挑んできたこと、そしてそこに市民や患者がinvolveされてきたことが、極めて示唆深いと思います。改革の成否には様々な意見もありますが、注目に値するものだと思います。ご関心を持っていただき、ありがとうございます。
Posted on 2010.02.17 2:36 PM by 武内和久
武内さま、コメントをありがとうございます。いろいろ考えさせられる、刺激に溢れた、素晴らしい内容の本でした。次はぜひ「日本で医療改革するならこうする」という提言本を書いてください。お立場上、難しいとは思いますが…だからこそ!
Posted on 2010.02.18 1:58 AM by yamauchi